おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018年版 各箇条解説シリーズ、箇条8.2「緊急事態への準備および対応」を解説します。「緊急事態」に関する要求事項について、図や具体例を交えて、初心者の方でも理解しやすい形で解説していきます。
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箇条8.2「緊急事態への準備及び対応」の位置づけ
まずは、今回解説する箇条8.2「緊急事態への準備及び対応」がどのような位置づけにあるのか、確認しておきましょう。
前提として、箇条4では、会社が置かれている状況を分析し、それに基づいて労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、運用していくことが求められていました。
そして箇条5では、システムを効果的に運用するために、会社のトップがどのような役割を果たすべきかが示されています。
さらに箇条6では、会社を安全で健康的な場所にするために、リスクや問題を事前に洗い出して対策を講じること、そして目標を設定することが求められています。
箇条7では、その計画を実行するために必要な人材や設備、インフラなどを準備します。そして箇条8では、これまで準備してきたことを具体的に実行に移していきますが、
今回はその中でも箇条8.2「緊急事態への準備及び対応」に焦点を当てて解説していきます。
ISO45001における「緊急事態」とはなにか
まず、緊急事態とはどのようなものか? 規格には明確な定義が記載されていませんが、いくつかの例を挙げることでイメージがしやすくなります。たとえば、職場でのケガが緊急事態として真っ先に思い浮かぶかもしれません。ISO 45001では「インシデント」という言葉が使われており、これはケガや病気が発生する事態、あるいはケガや病気が発生しそうだった場面を指します。たとえば、滑って転倒して骨折してしまったり、有害物質を吸い込んで体調不良を起こしたりするケースが該当します。こうした状況は、誰でも緊急事態だと感じるでしょう。
しかし、ISO 45001が考えている「緊急事態」は、インシデントに限られません。規格の附属書A.6.1.2 d)を読むと、次のように書いています。
d) 起こり得る緊急事態
1) 直ちに対応が必要な予想外又は予定外の状況(例えば、職場における機械の発火、又は職場の近隣若しくは働く人が労働関連の活動を行っている別の場所における自然災害)。
2) 働く人が労働関連の活動を行っている場所での暴動といった働く人の緊急避難が必要な状況も含まれる。
これを読むと「緊急事態」は、インシデントに限らない、さらに広い範囲の状況を含めて考えるよう求めていることがわかります。例として、機械が突然発火したり、自然災害が発生したり、さらには暴動が起きたりする場合も、緊急事態に該当する可能性があることがわかりますね。
これらは、まだケガが発生していなくても、労働災害が起きる危険性が高い状況です。つまり、緊急事態には、ケガや病気が実際に発生した場合だけでなく、それが発生する可能性がある場合も含める必要があります。
明日は箇条8.2の規格要求事項を詳しく見ていきます。