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フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の全文を読む(1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

4月28日、参議院本会議において、いわゆる「フリーランス新法」(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が成立しました。当社も一人法人なので「特定受託事業者」に該当するのですが、結構重要な法律なので、法案の全文を読んでいきたいと思います(第1回目)

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「フリーランス新法」(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)とは

働き方の多様化や副業の容認などが進んでおり、フリーランスになる人が増えていると言われています(内閣官房の推計で462万人)。しかしフリーランスは、一般的に立場が弱いと言われていますが、そうしたフリーランスを保護しようという法律です。

2023年2月24日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)が閣議決定され、国会に提出されました。

法律は全部で26条から成りますが、大きく分けると以下の6つのパートで構成されています。基本的には下請代金支払遅延等防止法(下請法)によく似ています。下請法が取引相手が比較的大きな規模の企業でないと対象にならないので、下請法で救われないケースをこの「フリーランス新法」で救おうとしているというイメージでしょうかね。(詳しくはこの連載の中で述べますが、下請法ではカバーされていない「再委託」のことなども含むので、単なる下請法の拡大版という法律でないのも確かですが)

1.法の目的(何を目的とした法律か)

2.対象となる当事者・取引の定義(誰が「フリーランス」か)

3.特定受託事業者に係る取引の適正化(「フリーランス」に仕事を委託する場合の取引条件はなにか)

4.特定受託業務従事者の就業環境の整備(「フリーランス」が仕事をしやすい環境を整えるのに、委託者は何をするべきか)

5.違反した場合等の対応(2と3に違反した場合はどんな手続き・罰則があるか)

6.国が行う相談対応等の取組(国は「フリーランス」に対してどうサポートするか)

なお、この法律の施行日(法律の効力が発動し作用する日)は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされています。遅くとも2024年秋までには施行される見込みです。

第一条 目的

第一条 この法律は、我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

おおざっぱにいうと「フリーランスを保護して、経済を発展させることが目的」と言っていますね。

第二条 定義

第二条 この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

一 個人であって、従業員を使用しないもの

二 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。第六項第二号において同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの

2 この法律において「特定受託業務従事者」とは、特定受託事業者である前項第一号に掲げる個人及び特定受託事業者である同項第二号に掲げる法人の代表者をいう。

第二条では、フリーランスとは誰か、業務委託とは何か等の定義をしています。「特定受託事業者」という難しい言葉が出てきていますが、これが本法律におけるいわゆる「フリーランス」のことです。具体的には以下のどちらかに該当する事業者がこの法律のなかで「フリーランス」として扱われます。

「個人であって、従業員を使用しないもの」というのは明確ですね。個人事業主であり、従業員がいないということです。この従業員に専従者(生計を一にしている配偶者やその他の親族の従業員)が含まれるのかどうかは微妙です。日本労働弁護団もこのような文書を公開していますが、専従者が含むのか含まないのかは、少なくとも当社が調べた限りは明確でないようです。

一方、個人ではなく法人も「フリーランス」になりえます。具体的には、代表者(代表取締役等)以外に役員も従業員もいないという、いわゆる一人会社の場合は「フリーランス」扱いのようです。当社はこれに該当します。

なお「特定受託事業者」とは別に「特定受託業務従事者」という定義もあります。基本的には個人であろうが法人であろうが一人事業者が、この法律における「フリーランス」なので、実質的には同じですが、法律の中では、取引の適正化(第三条-第十一条)については「特定受託事業者」、就業環境の整備(第十二条-第二十条)については「特定受託業務従事者」と使い分けているようです。

次の項を見てみましょう。

3 この法律において「業務委託」とは、次に掲げる行為をいう。

 一 事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造(加工を含む。)又は情報成果物の作成を委託すること。

 二 事業者がその事業のために他の事業者に役務の提供を委託すること(他の事業者をして自らに役務の提供をさせることを含む。)。

ここでは「業務委託」の定義をしています。簡単に言うと、製品・サービスの提供を委託することを指しています。当然ですが、一人で事業をやっているとしても、一般顧客を対象とした飲食店や小売店などは対象ではないですね(委託ではないし、BtoCの事業は対象外なので)。ただ、飲食店を経営しながら、どこかの企業に対して食品の提供(OEM提供のようなもの)をしていれば対象になりそうです。

4 前項第一号の「情報成果物」とは、次に掲げるものをいう。

 一 プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)

 二 映画、放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの

 三 文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの

 四 前三号に掲げるもののほか、これらに類するもので政令で定めるもの

4項は「情報成果物」の定義です。ソフトウェア、映像コンテンツ、各種デザインなどを指しています。この定義は下請法と全く同じですね。

5 この法律において「業務委託事業者」とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者をいう。

5項は「業務委託事業者」について定義を定めていますが、「フリーランス」に発注する事業者のことを指します。「事業者」ですから、いわゆるBtoBが対象であることがわかりますね。なお発注する事業者が「フリーランス」であっても「業務委託事業者」に該当します。

6 この法律において「特定業務委託事業者」とは、業務委託事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

 一 個人であって、従業員を使用するもの

 二 法人であって、二以上の役員があり、又は従業員を使用するもの

一方、発注する事業者が「フリーランス」ではない場合(従業員がいる個人事業主や法人の場合)は、「特定業務委託事業者」という冠がつきます。「特定業務委託事業者」に課せられる義務のほうが多いです。ただし「業務委託事業者」でも、悪質な不動産ブローカーなどもいるとききますから、「特定業務委託事業者」に一本化したほうがいいのではないかと個人的には思います。

7 この法律において「報酬」とは、業務委託事業者が業務委託をした場合に特定受託事業者の給付(第三項第二号に該当する業務委託をした場合にあっては、当該役務の提供をすること。第五条第一項第一号及び第三号並びに第八条第三項及び第四項を除き、以下同じ。)に対し支払うべき代金をいう。

業務委託に対して支払うべき代金のことを、この法律はで「報酬」と定めています。下請法では「下請代金」という言葉を使っていましたが、この法律では「報酬」という言葉を使っていますね。

明日、もしくは明日以降に続きます(結構長い連載になりそうです)

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