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設備の新しさや珍しさだけを推すのは、ものづくり補助金の「革新性」としてはかなり弱い

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

来年実施のものづくり補助金の公募時期が近づいてきたこともあり、そろそろ対策のためのノウハウを公開していきたいと思います。今回はその考え方が難しい「革新性」についてですが、機械商社やメーカーの担当者を中心にして、設備の新しさや珍しさを革新性として捉える方がいます。しかし僕は、これは革新性としてはかなり弱いと考えます。

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最新設備や、他社未導入の設備を導入しようとするケースについて

ものづくり補助金の主な補助対象費用は「機械装置費」です。おそらく、ものづくり補助金に申請する企業のほとんどが設備投資を目的にしており、この機械装置費を計上していることだと思います。ですので、僕もものづくり補助金の打ち合わせをするときには、必ず「どんな設備を購入するのか」ということを確認します。

設備の話をしているときに、たまに「今度当社が導入しようという設備は最新型でして、まだ日本には導入実績がほとんどないんですよ。だからものづくり補助金の革新性に該当しませんかね?」ということを訊かれることがあります。もっと詳しく訊くと、どうも機械商社やメーカーの人が、そのように説明をしているのをうのみにして、これが革新性だとお考えのようです。

確かに、ものづくり補助金における革新性とは「自社にもなく、他社でも一般的でないこと」への取り組みのことなのですが、果たして導入設備が新型であり、他社での導入が一般的でないことをもって「革新性」と言えるでしょうか。僕はこれは「革新性としてはかなり弱い」と考えます。

革新性として弱いと思う主な理由は「模倣困難性」が弱い点にある

他の企業が導入していないような新型設備なのに、なぜそれが「革新性」としては弱いのでしょうか。その理由について僕ならば「模倣困難性が弱い点」と答えます。「模倣困難性」とは、競合他社が真似しにくいかどうかということです。ですので「模倣困難性が弱い」というのは、他社が真似をしやすいことだ、ということでもあります。

確かに他の企業が導入していないというのは、新しいことであるとは言えるでしょう。しかしいずれ時期がくると、その設備を導入している企業が増えるはずです。つまり、先行導入している企業を、後追いの企業が「真似」をする状態ですね。そうなると、最初に導入している企業が享受しているメリットは、設備の浸透に応じてメリットではなくなります。これだと「新しい」という状態(≒革新的な状態)はほんの一時的なものであり、その会社の持続的な競争力にはなりえません。こういった理由から、革新性としては弱いと考えます。

そもそも「革新性」には「競争力がある」というニュアンスが含まれるはずです。いくら新しいことであっても、他社に対する競争力がないものは、経営には全く意味がありません。極端な例ですが、僕が「ワニの骨からとったスープのラーメン」という新商品を開発したとします。これは紛れもなく、他に類のない「革新性」あるものですが、しかしこれが、従来の鶏がらや豚骨、魚介によるスープに対する競争力があるとは思えません。こういうものは革新性としてはかなり弱いでしょう。

設備の新しさ・珍しさよりも「新しい設備を使ってどんな新しいことをするか」のほうが重要

したがって、設備そのものの新しさや珍しさだけを推すことは、必ずしも審査員から「革新性あり」という評価を得られないと僕は考えます。もっと重要なのは「新しい設備を使ってどんな新しいこと(新商品開発や新生産プロセスの開発)をするのか」ということです。

例えば「こういう新商品を作りたいと思っていたけれども、それは従来の設備ではできなかった。しかし新しい設備ならばできる」というストーリーですね。こういうストーリーを耳にすると、新商品のアイデアや、新商品を具現化するための技術がこの会社にはあるんだろうなということが推察できます。そういうアイデアや技術というのは、単に設備を買ってきたからといって他社が真似できるものではありません(模倣困難性が高い)。

このように、自社が持つアイデアや知識、経験、ノウハウといった模倣困難性が高いものと、新しい設備の組み合わせによって実現できる「何か新しいこと」というほうが、競合他社に対する競争力という点で説得力を持ちます。

革新性についてはこちらの記事もご参考にしてください

革新性については、過去にまとめた記事もありますので、こちらもご参考にしてくださいね。

「ものづくり補助金」審査上最大の論点"革新性"とは何か

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