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『経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要』から中小企業施策をざっくり解説

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

11月10日、政府が2023年度補正予算案を閣議決定しました。これに伴って、経産省が補正予算案の概要説明資料を公開しています。この資料には、今年度末から来年度にかけて、新たに国が行う中小企業施策が書かれています。主な中小企業施策について説明をします。

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『経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要』はこちら

動画でも解説しています(無料・登録不要)

今回の補正予算で行われる多くの中小企業施策の目的は「持続的賃上げ」「所得向上」である

今回の補正予算の主な特徴から説明しますが、行われる多くの中小企業施策の目的は「持続的賃上げ」「所得向上」です。『経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要』の資料の見出しにもそう書いていますね。

なぜ今賃上げが求められているかというのは、この「経済産業政策新機軸部会資料」にも書かれています。簡単に要約すると、日本の会社はお金をたくさん稼いでいるけれど、そのお金が従業員の給料にはあまり回らず、みんなの給料が上がっていないのです。そのため、人々がお金を使うことが少なくなり、経済があまり良くなっていません。だから、経済を良くするためには、会社がもっと給料を上げることが大切だと言われているためです。

この度の経済対策と補正予算案は、そうした背景のもとで作られています。今から説明する中小企業施策も、その多くは「賃上げのため」にやるものなのです。したがって、これらの施策、特に補助金関係は、申請要件として賃上げが必須とされる可能性が、例年より高いことが想定されます。

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金【3,000億円】(R5年度:1,000億円)

「足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う工場等の拠点の新設や大規模な設備投資を促進する。 」ための補助金が新設されます。人手不足を拠点新設や大規模な設備投資で解決するような案件に対する補助金ですので、例えば、製造ラインにロボットや自動化技術を導入したいけれども、既存の工場では狭すぎるので、新工場を建てるというような投資だとイメージすればよいでしょう。(ロボットシステムは一般的に、安全防護物(安全柵など)が必要なので、設置面積を広く取る必要がありますからね)

こうした主旨ですから、単なる設備更新にこの補助金は使えないでしょう。大きな投資案件が対象でしょうから、かなり費用対効果がある(生産性向上する)事業計画でなければ採用されないと思います。手作業で行っている運搬を自動化・機械化するという程度だと、対象外になる可能性が高いと思われます。(そういう案件は、この次に説明する施策で取り扱うと思われます)

なお、経産省の資料には「【3,000億円】(R5年度:1,000億円)」と書いていますが、おそらく今年度は1,000億円の予算計上で、今後複数年で3,000億円くらいの規模の施策にする、という意味なのだと思われます。

中小企業省力化投資補助事業【1,000億円】(基金あわせて5,000億円程度)

「カタログから汎用製品を選んで行うような簡易なプロセスにより、省力化投資への支援を行う。」というものです。上記のような大規模成長投資ではなく、製造ラインの各工程の一部を省力化するような小規模の投資に対する補助金でしょう。

「カタログから汎用製品を選んで行う」とあるのは、既存のIT導入補助金のように、あらかじめ事務局が認定をした汎用製品が補助金の対象となるような運用なのだと思います。

予算は1,000億円ですが「中小企業等事業再構築基金の活用等含め総額5,000億円規模」と書いています。事業再構築基金とは、これまで事業再構築補助金を行うための予算を、単年度予算ではなく、基金形式でプールをしてきましたが、その基金が余っているので、それを活用するということでしょう。(これ推測ですが、。事業再構築基金を活用するということですので、中小企業省力化投資補助事業は事業再構築補助金のいち申し込みプランとして実施されるのかもしれません)

また「従来の事業再構築補助金は、経済構造の転換に挑戦する事業者、コロナ債務を抱える事業者等に支援先を重点化。」と書いていますので、事業再構築補助金は来年以降は、かなりテーマや対象を絞った形で存続することが伺えます。

中小企業生産性革命推進事業【2,000億円】

これはいわゆる「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」のことです。これが来年も継続するものと思われます。予算規模も前年と大きく変わりません。

基本的な要件は、従来からそれほど変わらないと思われますが、より一層「賃上げ」の義務化が進むかもしれません。

日本政策金融公庫等による資金繰り支援【629億円】

これは補助金ではなく、融資や信用保証に関する政策ですね。いまも行われている新型コロナウイルス感染症特別貸付や、コロナ融資の借換え保証制度(コロナ借換保証)、セーフティネット保証、働き方改革推進支援資金などのための予算だと思われます。

予算規模としては令和4年度補正予算額から減っていると思われます。(R4補正では778億円、うち財務省計上115億円)

中小グループ化・事業再構築支援ファンド出資事業【120億円】

これは今年度からの新しい事業ですが、ファンド出資事業なので、補助金事業ではありません。。中小企業がM&A(合併・買収)によってグループ化や事業再構築(新事業展開等)に取り組むことを目的とした投資ファンド事業のようです。経産省の資料では「独立行政法人中小企業基盤整備機構の出資によりファンドを組成し…」と書いているので、中小機構がこの資金(120億円)を、投資ファンド(投資事業有限責任組合)に出資をして、その投資ファンドが中小企業に資金提供(つまり投資)をするというスキームと考えられます。

事業環境変化対応型支援事業【112億円】

この事業は、前年に引き続いて行われる事業です。前年はこの事業で、商工会議所などを窓口として、インボイス制度や物価高騰、円安などで困っている企業に対する経営相談会の実施をしました。また、デジタル化診断事業も、この事業の一貫として行われました。今年もほぼ同じことをするのではないかと思われます。予算額もほぼ前年と同じです。

中小企業活性化・事業承継総合支援事業【52億円】

この事業も、前年に引き続いて行われる事業です。前年はこの事業で、過剰債務を抱えた企業を対象に、中小企業活性化協議会を窓口とした相談や、再生計画策定支援が行われました。また、後継者不在の中小企業に対して、事業承継・引継ぎ支援センターで、事業承継の診断や、M&Aのマッチング支援などもおこなっていました。今年もほぼ同じことをするのではないかと思われますが、こちらの予算額は、前年と比べて2割ほど減少しました。

中小企業取引対策事業【8.3億円】

この事業も、前年に引き続いて行われる事業です。端的にいうと、中小企業が大企業などと仕事をするときに、お金のことや契約のことで不公平なことがないように、周知をしたり、実態調査をしたりする事業です。大企業が中小企業に正当な報酬を支払うことが、賃上げにも欠かせないということで、この事業は予算額が前年から1.7倍ほど増額されました。

中小企業信用補完制度関連補助事業【71億円】

この事業も、前年に引き続いて行われる事業といえますが、今年はちょっと前年とは違う取り組みもありそうです。この事業に関しては、2022年12月に、経営者保証改革プログラムが公表されました。これは、経営者保証なしの融資を進めるため環境整備に関する事業ですね。経営者保証を不要にする場合に、保証料を多く払うような選択肢を作るようなんですが、保証料上乗せ分を一時的に補助をするために、この予算が使われるようです。また、企業に代わって保証協会がお金を返済したときに、保証協会に生じる損失を埋め合わせるためにも使われるようです。前年とは取り組みが微妙に異なるので単純比較はできませんが、類似事業の予算の額面だけを見ると、これは前年から3割ほど予算が減っています。

対内直接投資促進及び中堅・中小企業海外展開支援事業【53億円】

対内直接投資促進とは、例えば、海外企業が日本に進出して事務所や工場を作るようなことを言います。また海外展開は、その反対に、日本企業が海外にモノを輸出したり、事務所や工場を作ることを言います。こうした取り組みを支援するための事業です。基本的にはJETROを通じた相談や、展示会出展などの支援だと思われます。前年も似たような事業(海外市場開拓・有志国サプライチェーン構築等促進事業)がありましたが、予算規模も大幅に減っていることから、今年は事業内容を見直して再スタートをするのではないかと思われます。

産業サイバーセキュリティ対策の強化に向けた環境整備事業【5.1億円】

これは新しい事業です。中小企業も含んで、サイバーセキュリティに関する新施策に予算が計上されたのは、自動車産業でサイバー攻撃をうけた事例(小島プレス工業やデンソーなど)が最近相次いだことと関係あるかもしれません。実際、ぼくの周りでも、取引先から急にサイバーセキュリティに関する要求が増えたという話を耳にすることがあります。事業の内容は「中小企業等のサイバーセキュリティ対策を促進するための環境整備」と書かれているだけで、具体的にはよくわかりません。ちなみに、来年度(2024年度)の当初予算でも「サプライチェーン・中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業」というものに2億円の予算を概算要求しています。

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